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野球肩の治療・リハビリ|治し方と投球復帰までの考え方

投球する野球選手と肩関節の医学的イラストを組み合わせた、野球肩の治療・リハビリを示すインフォグラフィック 野球肩

「病院で野球肩と言われたけれど、これから何をすればいい?」
「肩を休めるだけで治るの?」
「リハビリでは何をするの?」
「筋トレをしたほうがいい?」
「いつから投げられる?」

子どもが野球で肩を痛めたとき、保護者や指導者にとって気になるのは、診断名だけではありません。

本当に知りたいのは、

「ここから、どうやって治していけばいいの?」

ということではないでしょうか。

この記事では、特に成長期の野球選手を想定して、野球肩の治療とリハビリについて解説します。

最初に結論をお伝えします。

野球肩の治療は、「休むだけ」でも「筋トレだけ」でもありません。

症状や病態に応じて投球・練習の負荷を調整し、必要な身体機能を整えながら、段階的な競技復帰を考えていきます。[1][2

また、「野球肩」という言葉には、成長部の障害、骨軟骨病変、関節唇や腱板など、さまざまな病態が含まれます。

そのため、すべての選手に同じ治療が行われるわけではありません。[3][6

特にLittle League Shoulderでは、投球休止後の段階的な競技復帰が多く報告されていますが、最適な休養期間や復帰基準については十分に確立されていません。[1


※この記事は一般的な医学情報を提供するものであり、個別の治療・リハビリ方法を指示するものではありません。実際の治療内容や活動制限については、診察を担当する医師・理学療法士などの判断を優先してください。


この記事を読むと分かること

  • 野球肩の治療は何から始めるのか
  • 痛みがあるとき、なぜ投球を休むことがあるのか
  • 「休むだけ」ではなく、リハビリが必要になる理由
  • リハビリでは何を評価するのか
  • 筋トレやストレッチは必要なのか
  • 肩だけでなく身体全体を見る理由
  • 病態によって治療が変わる理由
  • Little League Shoulderではどのように治療するのか
  • 痛みがなくなったら投げていいのか
  • 治療期間はどのくらいなのか
  • 治療中に保護者や指導者ができること

1.まず結論|野球肩の治療は「休むだけ」でも「筋トレだけ」でもない

野球肩と説明されると、「では、何をすれば治るの?」と思うのは自然なことです。

しかし、野球肩の治療を一つの方法だけで説明することはできません。

治療では、

現在どのような病態が疑われているのか

どの程度の痛みや機能低下があるのか

投球・練習による負をどう調整するか

どの身体機能を整える必要があるのか

どの段階で競技復帰を考えるのか

という流れで考えます。[1][2

投球アスリートのリハビリテーションでは、状態を評価したうえで、strength、mobility、endurance、powerなどを段階的に回復させていく考え方が示されています。[2

一方、Little League Shoulderについては、休養や段階的復帰に関する研究はあるものの、最適な休養期間や復帰基準にはばらつきがあります。[1

そのため、

「野球肩なら○週間休めば治る」「この筋トレをすれば治る」

という一律の方法として考えないことが大切です。[1][4


2.野球肩の治療は、まず「何が起きているか」を整理することから

「野球肩」という言葉を聞くと、一つの病気のように感じるかもしれません。

しかし、成長期の野球選手の肩には、

  • 成長部に関わる障害
  • 骨軟骨病変
  • 関節唇の問題
  • 関節包の変化
  • 腱板などの病変

など、異なる病態があります。[3

Aoyamaらのreviewでも、若年野球選手の肩には複数の病態があり、成長や投球に伴う適応変化と病的変化を考慮する必要性が示されています。[3

また、小児・思春期の投球選手では、骨格が成熟途中であることが、障害の発症や治療を考えるうえで重要です。成人の投球障害とは異なる点があります。[6

そのため、「肩が痛い」という症状だけで、治療方法が決まるわけではありません。

年齢や成長段階、症状の経過、身体診察、画像所見などを合わせて、その選手の状態を考える必要があります。[3][6

ここで大切なのは、

診断名だけを見て治療を決めるのではなく、その選手の病態と状態を見て治療を考えること

です。


3.痛みがあるときは、まず投球・練習の負荷を見直す

肩に痛みがある場合は、まず投球や練習による負荷を見直します

病態によっては、

  • 投球を一時的に休止する
  • 練習量を減らす
  • 競技活動の一部を調整する

といった対応が行われます。[1][2

Little League Shoulderでは、投球休止が治療の中心として多く報告されています。[1

ただし、

「肩が痛い=すべての運動を完全に禁止する」

と一律に考えるわけではありません。

必要な活動制限の程度は、

  • 病態
  • 症状
  • 発症からの経過
  • 年齢
  • 身体機能

などによって異なります。[1][2

つまり、

「休むか、休まないか」の二択ではなく、「今の状態で、どの負荷をどこまで調整する必要があるか」を考える

ことが大切です。


4.「休むだけ」で終わるとは限らない

投球を休止することが治療の一部になる場合があります。

しかし、投球を休めば、それだけで治療がすべて終わるとは限りません。

症状や身体機能の状態に応じて、

  • 可動域
  • 筋力
  • 持久力
  • パワー
  • 肩甲帯の機能
  • 必要に応じた体幹や下肢の機能

などを評価し、リハビリテーションを組み合わせることがあります。
投球アスリートのリハビリテーションでは、評価結果に応じてstrength、mobility、endurance、powerなどを多段階で回復させる考え方が示されています。[2

一方で、

「痛みがあるから、とりあえず筋トレを始める」

というわけでもありません。

成長部などに関係する障害では、病態を確認しないまま運動負荷を増やすことが適切でない場合があります。[6


5.リハビリでは何をする?

リハビリというと、「筋トレをする場所」というイメージを持つ人もいるかもしれません。

実際には、それだけではありません。

リハビリでは、状態に応じて次のような点を確認します。[2

① 症状を確認する

日常生活や運動で痛みがどう変化するのかを確認します。

② 可動域を確認する

肩がどの方向にどの程度動くのかを評価します。

③ 筋力・筋機能を確認する

肩周囲を中心に、必要な筋力や筋機能を確認します。

④ 身体全体の機能を確認する

必要に応じて、肩甲帯、体幹、股関節、下肢なども評価します。

⑤ 競技動作へ段階的に戻す

状態が整ってきたら、競技動作へ少しずつ戻していきます。

ここで注意したいのは、

「この運動をすれば野球肩が治る」という一つのリハビリメニューが確立しているわけではない

ということです。

オーバーヘッドアスリートの肩病変に対する運動療法を調べたsystematic reviewでも、研究で使用された運動には大きなばらつきがあり、全体のエビデンスは低いとされています。[4


6.リハビリでは肩だけでなく、身体全体を見る

投球は肩だけで完結する動作ではありません。

投球アスリートのリハビリテーションでは、肩だけでなく、可動性、筋力、持久力、パワーなど、複数の身体機能を評価する考え方があります。

そのため、状態に応じて、

  • 肩甲帯
  • 体幹
  • 股関節
  • 下肢

などを確認する場合があります。[2

ただし、ここから、

「股関節が硬いから野球肩になった」「体幹が弱いから野球肩になった」

と一つの原因に決めつけることはできません。

身体全体を見る目的は、

原因を一つに決めることではなく、投球に必要な身体機能を総合的に評価し、必要な部分を整えること

です。

また、野球選手の投球障害予防研究では、肩だけでなく肩甲周囲筋、股関節、下肢などを含む多面的な介入が検討されています。[5

ただし、これは予防に関する研究であり、野球肩の治療効果を直接証明するものではありません。


7.病態によって治療は変わる

ここは、野球肩を理解するうえで非常に重要です。

野球肩は一つの病気ではありません。

成長部に関わる障害、骨軟骨病変、関節唇の問題、腱板などの問題では、必要な治療や活動制限が同じとは限りません。

若年野球選手の肩では、成長部障害だけでなく、さまざまな組織の病態が報告されています。[3

また、小児・思春期の投球障害では、骨格が成熟途中であること自体が治療を考えるうえで重要です。[6

だからこそ、

「野球肩になったら、この治療をする」

という一つの公式メニューを作ることはできません。

必要な治療は、

病態症状年齢・成長段階身体機能

などを踏まえて考えます。


8.Little League Shoulderでは、どのように治療する?

成長期の野球選手で重要な病態の一つに、Little League Shoulderがあります。

Little League Shoulderは、投球に関連して近位上腕骨の成長板に障害を生じるオーバーユース障害です。

この病態では、投球を休止する治療が多く報告されています。

その後、

症状の改善などを確認しながら、段階的に競技へ戻る

という方法が報告されています。

ただし、ここには重要な注意点があります。

Bednarらのsystematic reviewに含まれた23研究のうち、21研究はLevel 4、2研究はLevel 3でした。また、具体的なreturn-to-sport基準を報告していたのは23研究中11研究でした。

つまり、

Little League Shoulderの治療について一定の報告はありますが、「何週間休めばよいか」「どの状態なら必ず復帰できるか」という統一された基準が十分に確立しているわけではありません。

そのため、

「Little League Shoulderなら○週間休めば必ず治る」

という形で数字を固定して考えないことが重要です。

この章の参考文献

Diagnosis and Management of Little League Shoulder: A Systematic Review – PMC
Little League shoulder (LLS) is an overuse injury characterized by throwing-related pain that commonly presents in adole…

9.リハビリで「痛みがなくなった」ら終わり?

痛みがなくなることは、もちろん重要な改善です。

しかし、

痛みがなくなった=すぐ通常投球ができる

とは限りません。

投球アスリートの復帰では、痛みだけでなく、

  • 可動域
  • 筋力
  • 肩甲帯の状態
  • 体幹・股関節などの身体機能
  • 投球動作への耐性

などを確認しながら進める考え方があります。[2

また、return-to-throwの文献では、投球開始前の評価として、痛み、可動域、肩甲帯、筋力、股関節・体幹などが挙げられています。[5

したがって、

「痛くなくなったから、明日から普通に投げる」

という戻し方には注意が必要です。

一方で、

「少しでも違和感があれば、ずっと投げられない」

という意味でもありません。

重要なのは、

今の状態が、次の負荷に耐えられるのか

を段階的に確認していくことです。


10.いつから投球を再開する?

投球再開の時期は、

病態や回復状況によって異なるため、一律の日数で決めることはできません。[1][5

Return-to-throwに関するreviewでは、投球を再開する前に、

  • 痛み
  • 可動域
  • 肩甲帯
  • 筋力
  • 股関節・体幹
  • その他の身体機能

などを確認する考え方が示されています。

そして、投球を再開するときは、

段階的に負荷を上げていく

という考え方が用いられます。[5

ただし、

「何メートルから始める」「何球投げる」「何%の強度にする」

といった具体的な投球プログラムは、病態や競技レベルなどによって調整されます。

そのため、本記事では全員に当てはめる固定的な投球復帰プログラムは提示しません。

具体的な投球復帰については、別記事で詳しく解説します。


11.治療中でもできることはある?

「肩を休めている間は、何もできないの?」

と心配になることもあるでしょう。

実際には、病態や症状によっては、投球以外の活動を調整しながら続けられる場合があります。Little League Shoulderについても、投球を休止しながら他の活動を行うことが報告されています。[1]

ただし、

「投球を休めば何をしてもいい」

という意味ではありません。

例えば、

  • ランニング
  • 下半身トレーニング
  • 体幹トレーニング
  • 野球の一部練習

などができるかどうかは、病態や症状によって変わります。

治療中に何をしてよいか迷った場合は、

「肩に負担をかけずに、今できる活動は何ですか?」

と担当する医療者に確認するとよいでしょう。


12.やってはいけないリハビリ・治療の考え方

治療中に特に注意したいのが、自己判断による負荷の増加です。

痛みを我慢して投球を続ける

「少し痛いけれど投げられるから」と、自己判断で投球を続けることは避けましょう。

特に成長期のオーバーユース障害では、状態を確認せず負荷を続けることが適切でない場合があります。[1][6

SNSのリハビリをそのまま行う

インターネットやSNSには、

「野球肩にはこの筋トレ」

「このストレッチだけで治る」

といった情報もあります。

しかし、研究で検討されている運動にはばらつきがあり、運動療法のエビデンスも一様ではありません。[4

そのため、

「誰にでも同じ運動が効く」

とは考えない方が安全です。

痛みに耐えて負荷を増やす

リハビリの目的は、

痛みに耐えて頑張ること

ではありません。

その時期の状態に合わせて、必要な負荷を選びます。[2


13.治療がうまくいっているか、何で判断する?

治療の経過を見るとき、

「痛いか、痛くないか」

だけで判断しないことが大切です。

例えば、

  • 日常生活で痛みがどう変化したか
  • 肩をどの程度動かせるか
  • 筋力がどう変わったか
  • 運動後に症状が残らないか
  • 次の段階の運動に耐えられるか

などを確認します。[2

投球復帰を目指す場合には、さらに競技動作へ段階的に負荷を戻していきます。[5

したがって、

「痛みが消えた」という一つの結果だけで、治療終了・競技復帰を決めない

という考え方が重要です。


14.野球肩の治療期間はどのくらい?

これは、多くの保護者が気になるところだと思います。

結論からいうと、

野球肩全体に共通する治療期間を、一つの数字で示すことはできません。

病態、症状、成長段階、活動量、治療への反応などによって異なるためです。[1][3

Little League Shoulderについては、治療後の症状改善や競技復帰までの期間を報告した研究があります。

例えば、Heyworthらの後ろ向き研究では、症状消失や競技復帰までの平均期間が報告されています。[7

一方で、このような研究結果は、

「Little League Shoulderなら、この期間で治る」

という標準治療期間を示すものではありません。

研究対象、治療方法、評価方法などが異なるためです。

したがって、

「平均○か月」という数字だけを見るのではなく、自分の状態がどこまで回復しているか

を見ることが大切です。


15.治療中に保護者・指導者ができること

子どもの野球肩では、選手本人だけでなく、保護者や指導者の関わりも大切です。

保護者ができること

まず、

「痛い」と言いやすい環境をつくる

ことです。

「大会が近いから我慢しよう」ではなく、

「今はどこが痛い?」「投げた後はどうだった?」

と状態を確認してあげることが大切です。

また、

  • 練習量
  • 試合数
  • 投球数
  • 痛みの経過
  • 前日に行った活動

などを記録しておくと、診察時の説明に役立つ場合があります。

指導者ができること

治療中は、

「早く復帰させること」だけを目標にしない

ことが重要です。

医療者から示された活動制限や復帰方針を共有し、

「痛くても投げられるなら大丈夫」

という考え方を避けます。

復帰時期については、選手や指導者だけで決めず、必要に応じて医療者と相談しながら進めます。


📝 筆者の経験から|「休めばいい」と言われても、それだけでは不安だった

以前の私は、

「肩が痛いなら休めばいい」

というくらいに考えていました。

でも、実際に選手の立場になると、

「どのくらい休めばいいの?」

「休んでいる間は何をすればいいの?」

「いつから投げられるの?」

という疑問が次々に出てきます。

身体について学び、少年野球の現場にも関わるようになってからは、

「休むこと」も治療の一部だけれど、それで終わりではない

と考えるようになりました。

今では、

症状
成長段階
投球量
身体機能
リハビリ
復帰の過程

を一つずつ確認していくことが大切だと考えています。

選手にとってつらいのは、

「いつまで休めばいいのか分からない」

という状態かもしれません。

だからこそ治療中は、

「今は何をする時期なのか」

を医療者に確認していくことが大切です。

※この章は筆者自身の経験・現場経験に基づくものであり、医学的エビデンスを示すものではありません。


よくある質問

Q1.野球肩は休めば治りますか?

病態によって異なります。

Little League Shoulderでは、投球を休止し、症状の改善などを確認しながら段階的に競技へ復帰する方法が多く報告されています。[1

ただし、野球肩すべてが同じ経過をたどるわけではありません。


Q2.野球肩のリハビリでは何をしますか?

症状や身体機能に応じて、

  • 可動域
  • 筋力
  • 持久力
  • パワー
  • 肩甲帯
  • 体幹
  • 下肢

などを評価し、必要な部分を段階的に整えていきます。[2

具体的な内容は選手によって異なります。


Q3.野球肩は筋トレしたほうがいいですか?

筋力トレーニングがリハビリの一部になる場合はあります。

しかし、

「野球肩なら、この筋トレをすればよい」

という一律の方法があるわけではありません。

運動療法に関する研究でも、使用される運動にはかなりのばらつきがあります。[4


Q4.野球肩の治療期間はどのくらいですか?

一律には決められません。

病態、症状、成長段階、治療への反応などによって異なります。[1][3

Little League Shoulderについては治療期間や競技復帰までの期間を報告した研究がありますが、研究結果をそのまま個々の選手に当てはめることはできません。[7


Q5.痛みがなくなったら投げていいですか?

痛みがなくなったことは重要ですが、それだけで通常投球への復帰を決めるわけではありません。

可動域や筋力などの身体機能も確認し、段階的に投球へ戻す考え方があります。[1][5


Q6.野球肩の治療中は筋トレしてもいいですか?

病態や治療段階によって異なります。

特に成長部に関係する障害では、状態を確認しないまま負荷を増やすことが適切でない場合があります。[6

何をしてよいかは、担当する医療者に確認してください。


Q7.Little League Shoulderはどう治療しますか?

投球を休止し、症状の改善などを確認しながら段階的に競技へ復帰する方法が多く報告されています。

ただし、最適な休養期間や復帰基準は十分に確立されていません。[1


Q8.野球肩は手術が必要ですか?

野球肩という言葉だけで、手術の必要性が決まるわけではありません。

野球肩にはさまざまな病態が含まれるため、治療方法も病態によって異なります。[3][6

Little League Shoulderでは、保存的な治療と段階的な競技復帰が中心として報告されています。[1


Q9.リハビリ中にできる練習はありますか?

病態や症状によっては、投球以外の活動を調整しながら続けられる場合があります。[1][2

ただし、

「投球を休めば何をしてもよい」

というわけではありません。

現在の状態で何ができるのか、医療者に確認してください。


まとめ

野球肩の治療で最も大切なのは、

「休むか、筋トレするか」という二択で考えないことです。

野球肩にはさまざまな病態があるため、

病態症状成長段階投球・練習負荷身体機能

を踏まえて治療を考えます。[1][3

そして、

  • 痛みがあるときは、投球・練習の負荷を見直す
  • 必要に応じて投球を休止する
  • 必要な身体機能をリハビリで整える
  • 肩だけでなく、必要に応じて身体全体を評価する
  • 病態によって治療方法が変わる
  • 痛みがなくなったことだけで復帰を決めない
  • 投球復帰は段階的に考える

という考え方が重要です。[1][2][5

特に成長期のLittle League Shoulderでは、投球休止後の段階的な復帰が多く報告されていますが、最適な休養期間や復帰基準は十分に確立されていません。[1

だからこそ、

「○週間休めばいい」「この筋トレをすればいい」

と一つの答えを求めるのではなく、

「今の状態では何をしてよくて、次に何を目指すのか」

を確認しながら治療を進めることが大切です。

治療の次に出てくる疑問が、

「では、いつから、どうやって投げ始めればいいの?」

という問題です。

具体的な投球復帰については、次の記事で詳しく解説します。


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医学的根拠・参考文献

[1]Bednar ED, Kay J, Memon M, Simunovic N, Purcell L, Ayeni OR. 2021

Diagnosis and Management of Little League Shoulder: A Systematic Review.

Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2021;9(7).
DOI: 10.1177/23259671211017563.
PMID: 34377716.

Little League Shoulderの診断、治療、競技復帰について23研究、266人を対象にまとめたsystematic reviewです。含まれた研究の多くはLevel 4で、最適な休養期間や復帰基準について十分なエビデンスがないことが示されています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)


[2]Wilk KE, Arrigo CA, Ivey M. 2025

Rehabilitation of the Shoulder and Elbow in the Throwing Athlete.

Clinics in Sports Medicine. 2025;44(2):249-272.
DOI: 10.1016/j.csm.2024.06.001.
PMID: 40021255.

投球アスリートのリハビリテーションについて、正確な評価をもとにstrength、mobility、endurance、powerなどを多段階で回復させる考え方を整理したreviewです。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)


[3]Aoyama JT, Maier P, Servaes S, Serai SD, Ganley TJ, Potter HG, Nguyen JC. 2019

MR imaging of the shoulder in youth baseball players: Anatomy, pathophysiology, and treatment.

Clinical Imaging. 2019;57:99-109.
DOI: 10.1016/j.clinimag.2019.05.005.
PMID: 31203047.

若年野球選手の肩について、成長部障害、骨軟骨病変、関節唇、関節包、腱板などの病態や画像所見、治療を扱ったreviewです。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)


[4]Wright AA, Hegedus EJ, Tarara DT, Ray SC, Dischiavi SL. 2018

Exercise prescription for overhead athletes with shoulder pathology: a systematic review with best evidence synthesis.

British Journal of Sports Medicine. 2018;52(4):231-237.
DOI: 10.1136/bjsports-2016-096915.
PMID: 28404557.

オーバーヘッドアスリートの肩病変に対する運動療法をsystematic reviewした研究です。研究で検討された運動と専門家のclinical commentaryで提案された運動には大きな違いがあり、運動療法のエビデンス全体は低いとされています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)


[5]Da Silva AZ, Connelly JW, Chalmers PN. 2025

Return to Play Throwing Programs.

Clinics in Sports Medicine. 2025;44(2):273-289.
DOI: 10.1016/j.csm.2024.05.005.
PMID: 40021256.

投球再開前の評価とreturn-to-throw programを扱ったreviewです。投球開始前の評価項目として、痛み、可動域、肩甲帯、筋力、股関節・体幹などを扱っています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)


[6]Tisano BK, Estes AR. 2016

Overuse Injuries of the Pediatric and Adolescent Throwing Athlete.

Medicine & Science in Sports & Exercise. 2016;48(10):1898-1905.
DOI: 10.1249/MSS.0000000000000998.
PMID: 27254261.

小児・思春期の投球選手に生じるオーバーユース障害について、Little Leaguer’s shoulderを含む肩・肘の障害を扱ったreviewです。骨格が成熟途中の選手では、成人とは異なる発症・診断・治療上の問題があることを説明しています。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)


[7]Heyworth BE, Kramer DE, Martin DJ, Micheli LJ, Kocher MS, Bae DS. 2016

Trends in the Presentation, Management, and Outcomes of Little League Shoulder.

The American Journal of Sports Medicine. 2016;44(6):1431-1438.
DOI: 10.1177/0363546516632744.
PMID: 26983458.

Little League Shoulderの臨床像、治療、転帰を後ろ向きに検討した研究です。症状消失や競技復帰までの期間が報告されていますが、単一研究の結果であり、個々の選手の治療期間を決める基準としてそのまま使用するものではありません。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)