「病院に行くことにしたけれど、どんな検査をするの?」
「レントゲンだけで分かるの?」
「MRIまで撮る必要があるの?」
「エコーとMRIは何が違う?」
「CTはどんなときに使うの?」
子どもが野球で肩を痛めたとき、保護者の方にはさまざまな疑問が出てくると思います。
特に受診前後は、
「病院では、うちの子の肩をどうやって調べるんだろう?」
という不安を感じやすいものです。
この記事では、特に成長期の野球選手を想定して、X線(レントゲン)、超音波(エコー)、MRI、CTについて、それぞれの特徴と使い分けを解説します。
最初に大切なことをお伝えします。
野球肩の検査は、「どの検査が一番優れているか」で決めるものではありません。
症状、年齢、成長段階、身体診察、疑われる病態などを踏まえて、「何を確認するために、どの検査が必要なのか」を考えます。[1]
思春期アスリートの肩では、詳細な病歴と系統的な身体診察が重要で、その結果を踏まえて追加の画像検査を検討することが基本です。[1] (PubMed)
また、成長期の肩には成長板や関節軟骨があり、成人とは画像の見え方そのものが異なります。正常な発達による所見と病的な変化を区別することも重要です。[4][5] (PubMed)
※この記事は一般的な医学情報を提供するものであり、個別の診断や検査の必要性を判断するものではありません。実際にどの検査を受けるかは、診察を担当する医師の判断を優先してください。
- この記事を読むと分かること
- 1.まず結論|野球肩の検査は「症状→診察→必要な検査」の順に考える
- 2.病院に行ったら、最初に何をする?
- 3.X線(レントゲン)では何が分かる?
- 4.超音波(エコー)では何が分かる?
- 5.MRIでは何が分かる?
- でも、MRIは「野球肩なら必ず撮る検査」ではない
- 6.CTでは何が分かる?
- 7.X線・超音波・MRI・CTはどう使い分ける?
- 8.「レントゲンで異常なし」なら大丈夫?
- 9.「MRIを撮れば原因が全部分かる?」
- 10.子どもの検査で特に知っておきたいこと
- 11.MRIは子どもでも大丈夫?検査前に知っておきたいこと
- 12.検査について医師に確認しておきたいこと
- 13.検査を受けたら、その日に原因が分かる?
- 14.検査結果が出たら、すぐ野球に戻れる?
- 📝 筆者の経験から|「MRIを撮れば全部分かる」と思っていた
- よくある質問
- まとめ
- 関連記事
- 医学的根拠・参考文献
この記事を読むと分かること
- 病院に行ったら、まず何をするのか
- X線(レントゲン)では何が分かるのか
- 超音波(エコー)は何を見る検査なのか
- MRIでは何が分かるのか
- CTはどんな場面で使われるのか
- 4つの検査はどう使い分けるのか
- レントゲンで異常なしでも安心できるのか
- MRIで異常が見つかったら、それが痛みの原因なのか
- 子どもの画像検査で知っておきたいこと
- 検査について医師に何を聞けばよいのか
1.まず結論|野球肩の検査は「症状→診察→必要な検査」の順に考える
野球肩の検査というと、
「まずレントゲンを撮るのかな?」
「MRIを撮らないと分からないのかな?」
と、最初から画像検査を考える方も多いかもしれません。
しかし、実際には画像検査だけで肩の状態を判断するわけではありません。
まず、
どのような痛みなのか
↓
いつから痛いのか
↓
どの動作で痛むのか
↓
過去にどのような肩・肘の症状があったのか
↓
身体診察でどのような所見があるのか
を確認します。そのうえで、
必要な画像検査を選択する
という考え方になります。
Lazaroらのreviewでは、若年アスリートの肩では詳細な病歴と系統的な身体診察が重要であり、病歴・診察所見を踏まえてadvanced imagingの必要性を判断することが示されています。[1] (PubMed)
つまり、「MRIを撮らなかった=十分に調べてもらっていない」とは限りません。
逆に、「MRIを撮った=原因がすべて分かった」とも限りません。
大切なのは、
その検査で何を確認しようとしているのか
を理解することです。
2.病院に行ったら、最初に何をする?
「病院に着いたら、いきなりMRIの機械に入るの?」と心配になる方もいるかもしれません。
一般的には、まず問診と身体診察から始まります。[1]
問診で確認すること
例えば、
- いつから痛いのか
- どこが痛いのか
- 投球中に痛むのか
- 投球後に痛むのか
- 翌日に痛みが残るのか
- どの程度の頻度で投げているのか
- 最近、練習量や試合数が増えていないか
- 過去に肩や肘を痛めたことがあるか
- 転倒や衝突などの外傷があったか
- 現在どの程度の成長段階なのか
などを確認します。
身体診察では?
症状に応じて、
- 肩の可動域
- 筋力
- 痛みの場所
- 圧痛
- 肩周囲の状態
- 必要に応じた各種の診察・誘発テスト
などを確認します。
思春期アスリートの肩では、複数の関節や組織が関係するため、診察が難しい場合があります。
Lazaroらは、個々の身体診察テストには限界があり、病歴と系統的な身体診察を組み合わせて鑑別診断を考えることが重要だとしています。[1] (PubMed)
ここで、
「何を疑っているのか」
が整理され、その後の画像検査につながります。
3.X線(レントゲン)では何が分かる?
X線は、野球肩を考えるときに使われる基本的な画像検査の一つです。
大まかには、
骨や成長部の形態を確認する検査
と考えると分かりやすいでしょう。
X線で確認できるもの
- 骨の形態
- 骨折などの骨の異常
- 成長部の形態
- 骨の配列
- 左右を比較した形態上の変化
などがあります。
成長期の投球障害の一つであるLittle League Shoulderについて、Bednarらのsystematic reviewでは、23研究のうち20研究で両側X線が使用されていました。[2] (PubMed)
左右の肩を比較することで、単独の画像だけでは分かりにくい変化を確認しやすくなる場合があります。[2]
X線のメリットと限界
X線は、
- 比較的短時間で行いやすい
- 骨の形態を評価しやすい
- 骨折などの評価に使われる
- 成長部を含めた骨の状態を確認できる
といった特徴があります。
一方、X線だけですべての肩の組織を評価できるわけではありません。
例えば、骨髄、関節軟骨、関節唇、腱などは、X線では十分に評価できない場合があります。[3] (PubMed)
そのため、「レントゲンで異常がなかった=肩に何も問題がない」とまでは言えません。
ただし、「レントゲンが正常なら、次は必ずMRI」という意味でもありません。
追加検査の必要性は、症状や診察所見などを踏まえて判断されます。[1] (PubMed)
4.超音波(エコー)では何が分かる?
超音波検査は、身体の表面からプローブを当てて、組織の状態を画像化する検査です。
大きな特徴の一つは、
X線を使わない
ことです。[9] (Radiologyinfo.org)
また、リアルタイムで観察できるため、動かしながら評価できる場合があることも特徴です。[8] (PubMed)
エコーのメリット
- 放射線を使用しない
- リアルタイムで観察できる
- 動態評価ができる場合がある
- 検査する部位によっては、その場で評価しやすい
といった特徴があります。
小児アスリートの上肢障害を扱ったreviewでは、超音波が一部の上肢障害の評価に用いられ、肩や肘などの障害リスク評価にも活用されることが紹介されています。[8] (PubMed)
エコーですべて分かるわけではない
ここは重要です。
超音波には、
- 調べたい部位
- 組織の深さ
- 検査目的
- 使用する装置
- 検査を行う医療者の経験
などによって、評価しやすさが変わるという特徴があります。
したがって、「エコーなら子どもの肩は全部分かる」というわけではありませんし、反対に、「エコーでは何も分からない」というわけでもありません。
検査する目的に応じて、有用性が変わります。[8]
5.MRIでは何が分かる?
MRIは、強い磁場と電波を利用して身体の内部を詳しく画像化する検査です。
X線やCTとは異なり、放射線を使用しません。[9] (Radiologyinfo.org)
MRIでは、骨の形だけでなく、
- 骨髄
- 成長部
- 軟骨
- 関節唇
- 腱
- 筋肉
- 周囲の軟部組織
成長期の野球選手でMRIが役立つ理由
若年野球選手の肩MRIに関するreviewでは、MRIによって、
- 成長部の障害
- 骨軟骨病変
- 関節唇の損傷
- 関節包の変化
- 腱板の病変
など、複数の病態や変化を評価できることが整理されています。[3] (PubMed)
また、成長部障害の画像診断reviewでは、MRIは成長部を直接評価でき、周囲の軟部組織を評価するうえでも高いコントラストを得られることが特徴とされています。[6] (PubMed)
でも、MRIは「野球肩なら必ず撮る検査」ではない
ここも大切です。MRIは詳しい画像情報が得られますが、
すべての野球肩で必要になるわけではありません。
若年アスリートの肩では、病歴と身体診察を踏まえてadvanced imagingの必要性を判断します。[1] (PubMed)
したがって、「MRIを撮らないと野球肩は分からない」「MRIを撮ったから原因が全部分かる」というわけではありません。
MRIは、診察を補うための情報を得る検査と考えると分かりやすいでしょう。
6.CTでは何が分かる?
CTはX線を使って身体を断面で撮影し、骨の形態を詳しく評価することに向いている検査です。[6][10] (PubMed)
例えば、
- 骨折
- 複雑な骨の形態
- 骨の欠損
- 骨性構造の詳細
などを確認したい場合に役立つことがあります。
小児の成長部障害について、X線、CT、MRIはそれぞれ異なる情報を提供し、相補的に使われることがあります。[6] (PubMed Central (PMC))
Little League Shoulderに関するsystematic reviewでも、CTを用いた研究が含まれています。[2] (PubMed)
CTは小児では放射線にも配慮する
CTは、放射線を使用する検査です。[9][10] (Radiologyinfo.org)
「詳しく見られるから、とりあえずCT」という考え方ではありません。
RadiologyInfoでは、子どもは成人より放射線に敏感であるため、CTは診断に必要な場合に行い、不必要な検査や反復検査を避けることが重要としています。[10] (Radiologyinfo.org)
つまり、「CTを撮る=重症」でもありません。
必要な情報を得るために、目的に応じて選択されます。
7.X線・超音波・MRI・CTはどう使い分ける?
4つの検査には、それぞれ得意なことがあります。
| 検査 | 主に評価しやすいもの | 放射線 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| X線(レントゲン) | 骨・成長部の形態 | あり | 基本的な骨評価 |
| 超音波(エコー) | 一部の軟部組織・動態 | なし | リアルタイムで観察できる |
| MRI | 骨髄・成長部・軟骨・軟部組織 | なし | 多くの組織を詳しく評価できる |
| CT | 骨の形態 | あり | 骨を断面・立体的に詳しく評価できる場合がある |
※各検査の特徴は、調べる部位、疑われる病態、年齢、検査目的などによって変わります。小児・青年では、複数の画像検査を補完的に使うことがあります。[4][6][7][8]
ここで大切なのは、
「MRIが一番」
「CTが一番」
という考え方ではなく、骨の形態を確認したい場合と、骨髄や軟部組織を確認したい場合では、必要な検査が異なります。
だからこそ、
「何を確認するための検査なのか」
という視点が重要になります。
8.「レントゲンで異常なし」なら大丈夫?
これは、保護者の方が気になりやすいところです。
結論として、「X線で異常がない」という結果だけで、肩の問題をすべて否定できるわけではありません。
X線では十分に評価しにくい組織があり、MRIなどで追加評価できる場合があります。若年野球選手の肩では、MRIによって成長部や軟部組織、骨軟骨病変などを評価できます。[3] (PubMed)
一方、「X線が正常なら、次は必ずMRI」でもありません。
症状が改善している場合と、症状が続いている場合では、追加検査の必要性が異なることがあります。
若年アスリートの肩では、病歴・身体診察から必要な画像検査を判断することが重要です。[1] (PubMed)
そのため、「レントゲンで異常なしだったのに肩が痛い」という場合には、「今回の症状について、どのように考えていますか?」
と担当医に確認してみてください。
9.「MRIを撮れば原因が全部分かる?」
MRIは多くの組織を詳しく評価できる検査ですが、MRIだけで肩の痛みの原因が必ず特定できるわけではありません。
若年野球選手のMRIでは、障害だけでなく、投球や成長に伴うさまざまな変化も認められることがあります。[3] (PubMed)
また、小児肩の画像では、正常な発達過程そのものが画像上の特徴として見えるため、それを病的変化と区別する必要があります。[5] (PubMed)
そのため、「MRIに何か写った=今回の痛みの原因」という考え方ではなく、重要なのは、
症状+身体診察+画像
10.子どもの検査で特に知っておきたいこと
子どもの肩を見るときには、
「大人の肩を小さくしたもの」
として考えないことが重要です。
成長期の肩には、
- 成長板
- 骨化途中の部位
- 関節軟骨
- 発達途中の骨構造
などがあります。
そのため、成人では見慣れない画像所見が、子どもでは正常な発達の一部である場合があります。
Zemberらは、小児肩の正常な骨格成熟には一定のパターンがあり、その正常像を理解することが、真の病変との鑑別に重要だとしています。[5] (PubMed)
また、Kimらのreviewでも、成長板や関節軟骨が存在する骨格未成熟者では、成人とは異なる肩の障害や画像上の特徴がみられることが説明されています。[4] (PubMed)
「画像に変化がある=病気」ではない
「左右で少し違う」
「成長板が見える」
「骨化の途中に見える」
というだけで、病気とは判断できません。
年齢、症状、身体診察、画像所見を組み合わせて評価する必要があります。[4][5]
反対に、
「画像で異常がない=症状の原因はない」
とも限りません。
この両方を理解しておくと、検査結果を受け取ったときに必要以上に不安になったり、逆に安心しすぎたりすることを避けやすくなります。
11.MRIは子どもでも大丈夫?検査前に知っておきたいこと
MRIは放射線を使用しません。[9][11] (Radiologyinfo.org)
一方で、検査中は一定時間、身体を動かさずにいる必要があります。
また、MRIでは大きな音がするため、子どもによっては不安を感じることがあります。
年齢や発達、検査内容によって、長時間じっとしていることが難しい場合には、鎮静や麻酔が検討されることもあります。[11][12] (Radiologyinfo.org)
そのため、
「MRIが必要だけれど、子どもがじっとしていられるか心配」
という場合も、事前に医療スタッフへ伝えて構いません。
また、MRIでは金属を含む植込み型医療機器などについて確認が必要です。該当するものがある場合は、必ず医療スタッフに伝えてください。[11] (Radiologyinfo.org)
12.検査について医師に確認しておきたいこと
検査を受けるとき、
「何のための検査なのか、よく分からない」
ということがあっても不思議ではありません。
そんなときは、次のように聞いて構いません。
「今回、何を疑っていますか?」
例えば、
「骨の問題を疑っているのでしょうか?」
「成長部を見たいのでしょうか?」
「筋肉を確認したいのでしょうか?」
と確認できます。
「この検査で何が分かりますか?」
「このレントゲンでは何を見るのですか?」
「MRIでは何を確認するのですか?」
と聞いてみましょう。
「追加の検査は必要ですか?」
一つの検査だけでは判断が難しい場合もあります。
「ほかの検査も必要ですか?」
と確認できます。
「今は投球しても大丈夫ですか?」
検査結果を聞いたあと、「画像ではどうだったか」
だけでなく、「今の状態で投球していいのか」も確認しておきましょう。
13.検査を受けたら、その日に原因が分かる?
気になるところですが、検査を受けたその日に、すべての原因が確定するとは限りません。
検査の種類、医療機関の体制、画像の読影方法などによっても異なります。
また、画像に変化が見つかったとしても、
「その変化が今回の症状と関係しているのか」
を判断する必要があります。
若年アスリートの肩では、病歴と身体診察が診断形成の中心にあり、その情報をもとに画像検査を位置づけます。[1] (PubMed)
そのため、「画像に何か写っているか」だけでなく、「今回の症状と、どう関係しているのか」を確認することが大切です。
14.検査結果が出たら、すぐ野球に戻れる?
ここも誤解されやすいところです。
検査結果が出ることと、投球復帰できることは同じではありません。
例えば、
- 痛み
- 可動域
- 筋力
- 身体機能
- 疑われる病態
- 回復状況
などを踏まえて、その後の活動を考えます。
Little League Shoulderについてのsystematic reviewでも、投球休止後の段階的な競技復帰が報告されていますが、具体的なreturn-to-sport基準を報告した研究は23研究中11研究でした。[2] (PubMed)
したがって、「画像が大丈夫だから、今日から全力投球」とも、「画像に変化があるから、長期間ずっと野球禁止」とも、一律には言えません。
投球復帰の具体的な考え方については、別記事の「野球肩から投球復帰するまで」で詳しく解説します。
📝 筆者の経験から|「MRIを撮れば全部分かる」と思っていた
以前の私は、
「病院でMRIを撮れば、肩の原因が全部分かる」
そんなイメージを持っていました。
でも、身体について学び、少年野球の現場にも関わるようになってからは、検査結果の見方が少し変わりました。
同じ「画像上の変化」でも、「今回の症状と関係する重要な所見」の場合もあれば、「成長や投球によって生じる変化として考える所見」の場合もあります。
だからこそ、
「検査を受けること」だけではなく、「何を確認するための検査なのか」を理解すること
が大切だと考えています。
子どもが検査を怖がっている場合も、「怖がってはいけない」と考える必要はありません。
「音が大きいのが不安」
「じっとしていられるか心配」
など、気になることがあれば医療スタッフに伝えてみてください。
※この章は筆者自身の経験・現場経験に基づくものであり、医学的研究結果を示すものではありません。
よくある質問
Q1.野球肩ならレントゲンを撮りますか?
症状や診察所見によって異なります。
成長部や骨の状態を確認するためにX線が使われることがあります。Little League Shoulderのsystematic reviewでは、23研究中20研究で両側X線が使用されていました。[2]
ただし、すべての野球肩で同じ検査を行うわけではありません。
Q2.レントゲンとMRIは何が違いますか?
大まかには、
X線は骨や成長部の形態を評価するのが得意
MRIは骨髄、成長部、軟骨、軟部組織などを詳しく評価するのが得意
どちらが「優れている」というより、何を確認したいかによって使い分けます。
Q3.エコーとMRIはどちらがいいですか?
一概には決められません。
超音波は放射線を使わず、リアルタイムで観察できる特徴があります。一方、MRIは骨髄、成長部、軟骨、軟部組織などを詳しく評価できます。[3][8][9]
検査の目的によって適した方法が異なります。
Q4.MRIは子どもでも受けられますか?
子どもでもMRIを受けることがあります。
MRIは放射線を使いませんが、検査中は一定時間じっとしている必要があります。年齢や状況によっては、鎮静・麻酔が検討されることもあります。[11][12]
子どもが不安を感じている場合は、検査前に医療スタッフへ伝えてください。
Q5.CTとMRIは何が違いますか?
大まかには、
CTは骨の形態を詳しく評価するのが得意
MRIは骨髄、成長部、軟骨、軟部組織などを詳しく評価するのが得意
と考えると分かりやすいでしょう。[6]
CTはX線を使用するため、小児では必要性を考えて選択されます。[9][10]
Q6.レントゲンで異常なしなら大丈夫ですか?
必ずしもそうとは限りません。
X線では十分に評価できない組織があり、症状や診察所見によってはMRIなどの追加検査が検討されることがあります。[1][3]
ただし、
X線が正常だから必ずMRIが必要
という意味でもありません。
Q7.野球肩では必ずMRIを撮りますか?
いいえ。
MRIは詳しい画像情報を得られる検査ですが、すべての野球肩に必要なわけではありません。
症状、年齢、身体診察、疑われる病態などを踏まえて必要性が判断されます。[1]
Q8.検査は痛いですか?
検査の種類によって異なります。
X線やMRIは、画像撮影そのものが組織を傷つける検査ではありませんが、痛みのある部位を特定の姿勢にしたり、長時間同じ姿勢を保ったりすることで不快感が出る場合があります。
超音波ではプローブを当てるため、痛みのある部位では圧迫によって痛みを感じることがあります。
また、造影剤を使用する検査では、注射に伴う痛みなどが生じる場合があります。
不安や痛みがある場合は、医療スタッフに伝えてください。
Q9.検査結果はその日に分かりますか?
医療機関や検査の種類によって異なります。
その日のうちに画像を確認して説明を受ける場合もありますが、画像の読影や追加の検討が必要になる場合もあります。
まとめ
野球肩の検査で一番大切なのは、
「どの検査が一番優れているか」ではなく、「何を確認するために、どの検査が必要なのか」で考えることです。
大まかに整理すると、
- X線(レントゲン)
骨や成長部の形態を評価する基本的な画像検査の一つ。 - 超音波(エコー)
放射線を使わず、リアルタイムで一部の軟部組織や動きを評価できる検査。 - MRI
骨髄、成長部、軟骨、関節唇、腱など、多くの組織を詳しく評価できる検査。 - CT
骨の形態を詳しく評価したい場合に役立つ検査。ただしX線を使用します。
そして、「レントゲンが正常だから大丈夫」とも、「MRIを撮ったから原因が全部分かる」とも限りません。
成長期の肩では、正常な成長過程による画像所見もあるため、症状・年齢・身体診察・画像を合わせて判断することが重要です。[1][4][5]
病院で検査を受けるときは、「この検査では何を確認するのですか?」と聞いて構いません。
そして結果を聞くときには、「今回の症状と、この画像所見はどう関係していますか?」と確認してみてください。
検査を受けること自体が目的ではなく、
「今の肩の状態をできるだけ正確に把握して、これからどうするかを考える」
ことが、検査の本来の目的です。
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小学生の野球肩について知りたい方
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医学的根拠・参考文献
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Physical exam of the adolescent shoulder: tips for evaluating and diagnosing common shoulder disorders in the adolescent athlete.
Current Opinion in Pediatrics. 2017;29(1):70-79.
DOI: 10.1097/MOP.0000000000000443.
PMID: 27841778. (PubMed)
思春期アスリートの肩では、詳細な病歴と系統的な身体診察が重要であり、病歴・診察所見を踏まえて追加の画像検査を検討する考え方を扱ったreviewです。 (PubMed)
[2]Bednar ED, Kay J, Memon M, Simunovic N, Purcell L, Ayeni OR. 2021
Diagnosis and Management of Little League Shoulder: A Systematic Review.
Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2021;9(7).
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PMID: 34377716. (PubMed)
Little League Shoulderについて23研究、266人を対象としたsystematic reviewです。20研究で両側X線が使用され、CTやMRIを使用した研究も含まれていました。 (PubMed Central (PMC))
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[9]RadiologyInfo.org
Radiation Safety for Children.
X線・CTは放射線を使用し、超音波・MRIは放射線を使用しないこと、小児の画像検査では利益と潜在的なリスクを考慮することを説明しています。 (Radiologyinfo.org)
[10]RadiologyInfo.org
Pediatric CT.
小児ではCTの放射線被ばくをできるだけ抑え、診断に必要な場合に実施すること、不要な反復検査を避けること、場合によってはMRIや超音波など別の検査を検討できることを説明しています。 (Radiologyinfo.org)
[11]RadiologyInfo.org
Pediatric MRI.
小児MRIの基本、安全上の注意、植込み型医療機器の確認、検査前の準備などを説明しています。MRIは放射線を使用しません。 (Radiologyinfo.org)
[12]RadiologyInfo.org
Pediatric Sedation.
小児のMRIやCTなどでは、年齢や発達、検査内容によって鎮静・麻酔が検討される場合があります。特にMRIは長時間じっとしている必要があり、音や閉鎖空間を怖がる子どももいるため、場合によって鎮静が必要になることがあります。 (Radiologyinfo.org)


