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野球肩は病院に行くべき?子どもの肩が痛いときの受診目安を解説

野球肩で病院を受診する目安を示したイラスト 野球肩

「子どもの肩が痛いけれど、病院に行ったほうがいいのかな?」

野球をしている子どもの肩の痛みでは、このように迷うことがあります。

  • 痛がっているけれど投げることはできる
  • 練習を休むと少し楽になる
  • 大会が近い
  • 本人は「大丈夫」と言っている

という状況では、受診するかどうかの判断が難しいものです。

前の記事「野球肩でも投げていい?痛みがあるときの判断ポイントを解説」では、

「投げられる」ことと「投げてよい状態」であることは同じではないという考え方を解説しました。

では、その次に考えたいのが、

「では、病院には行ったほうがいいの?」

という問題です。

肩の痛みがあるからといって、すべてが重大な障害というわけではありません。

一方で、若年アスリートのオーバーユース障害は、明らかな外傷がなく、競技を続けられる程度の症状でも認識や受診が遅れることがあります。

米国小児科学会(AAP)も、こうした場合には診断や治療が遅れる可能性があると説明しています。[1]

また、小児・青年の肩障害では、成人とは異なる病態がみられるため、年齢や発達段階を考慮して評価することが重要です。[2,3]

この記事では、いつ医療機関への相談を考えるのか、明らかな外傷がある場合はどうするのか、何科を受診するのか、病院では何を聞かれ何を調べるのか、受診までの間はどうするのかを整理します。


※この記事は一般的な医学・スポーツ医学情報を提供するものであり、個別の診断や治療を行うものではありません。実際の受診や運動・投球の可否については、医療機関での評価を優先してください。


この記事を読むと分かること

  • 肩の痛みが続く・繰り返すときに受診を考える理由
  • 「痛いけれど投げられる」場合にどう考えるか
  • 医療機関への相談を考える材料
  • 明らかな外傷や強い症状がある場合の考え方
  • 成長期の肩痛を軽視しない理由
  • 何科を受診すればよいのか
  • 病院でどのようなことを聞かれ、何を調べるのか
  • 受診前に整理しておきたいこと
  • 受診後の練習や投球をどう考えるか

1.まず結論|肩の痛みが続く・繰り返すなら、自己判断で投球を続けず受診を考える

まず、結論からお伝えします。

肩の痛みが続く・繰り返す場合は、自己判断で投球を続けず、医療機関への相談を考えたいところです。

ここで大切なのは、「肩が痛い=必ず重い障害」という意味ではありません。

肩の痛みにはさまざまな原因があり、症状だけから病名を判断することはできません。

一方、AAPは、若年アスリートのオーバーユース障害について、明らかな外傷がない場合や、症状が競技を妨げない場合でも受診が遅れることがあり、診断や治療が遅れる可能性があると説明しています。[1]

また、2024年のAAP Clinical Reportでは、若年アスリートにおいて、

トレーニング負荷と回復のバランスが崩れることがオーバーユース障害につながりうると整理されています。[2]

さらに、小児・青年では成人とは異なる肩障害がみられるため、年齢や発達段階を含めて評価することが重要です。[3]

「投げられるから大丈夫」ではなく、

「痛みが続いているなら、一度状態を確認してもらおう」

という考え方が大切です。

ここでいう「受診を考える」は、肩が痛い子ども全員に同じ対応を求めるという意味ではありません。

症状の経過、身体機能の変化、年齢、成長段階などを含めて判断するという意味です。


2.「痛いけど投げられる」状態でも病院に行くべき?

野球では、肩に痛みがあっても投げること自体はできてしまう場合があります。

そのため、「投げられるから、病院に行くほどではない」と考えてしまうことがあります。

しかし、

「投げられる」ことと「問題がない」ことは同じではありません。

前の記事では、「投げられる」ことと「投げてよい状態」は別という考え方を説明しました。

受診についても同じです。

AAPは、オーバーユース障害では、症状が競技を完全に妨げない場合でも、認識や受診が遅れる可能性があるとしています。[1]

つまり、「痛いけれど、いつも通り投げられる」という状態だけで、「病院に行く必要はない」とは判断できません。

例えば、

  • 投球すると毎回同じような痛みが出る
  • 投球後にも痛みが残る
  • 痛みを何度も繰り返している
  • 少しずつ痛みが強くなっている
  • 腕が以前より動かしにくい

といった変化がある場合は、原因を確認するために医療機関へ相談することを検討してください。

「肩が痛い選手は全員、必ずすぐに病院へ行くべき」という一律のルールがあるわけでもありません。

重要なのは、

症状の有無だけではなく、症状の経過や身体の変化を含めて考えること

です。


3.どんな場合に医療機関への相談を考える?

ここが、この記事の中心となる部分です。

※以下は診断基準ではありません。症状の経過や機能の変化から、医療機関への相談を検討するための一般的な目安です。

次のような場合には、一度医療機関への相談を考えてください。

投球すると繰り返し痛む

「投げるたびに肩が痛い」

「毎回同じような場所が痛い」

という場合です。

一度だけの違和感とは異なり、投球との関係が繰り返しみられる場合には、原因を確認しておくことが大切です。

痛みが続いている

投球を休んでも痛みが残る、日常生活でも痛みを感じるなど、症状が続いている場合も確認したいポイントです。

痛みが徐々に強くなっている

最初は軽い違和感だったのに、

「最近は前より痛い」

というように変化している場合は、その日の疲労だけとは決めつけず、経過を確認します。

腕を動かしにくい

肩を上げにくい、腕を動かすと痛む、以前できていた動作がしにくい、といった変化がある場合も、状態を確認したいところです。

日常生活にも影響している

野球をしているときだけではなく、

  • 着替える
  • 髪を洗う
  • 腕を上げる
  • 寝返りをする

などの日常生活でも痛みや動かしにくさがある場合には、競技中だけの一時的な違和感として扱わないほうがよいでしょう。

休んでも改善しない、または再開すると繰り返す

一度投球を休んで痛みが落ち着いても、再び投げると同じ痛みが出る場合は、症状の経過を確認する必要があります。

7~11歳の野球選手900人を1年間追跡した前向き研究では、18.3%の選手が肩痛を経験しました。

また、肩痛は投手・捕手であること、週あたりのトレーニング時間、肩・肘痛の既往などと関連していました。[5]

ただし、この研究は、「この症状なら受診すべき」という基準を示した研究ではなく、

18.3%という数字は、肩痛を経験した選手の割合であって、

野球肩という特定の診断を受けた選手の割合

ではありません。[5]

この研究結果をそのまま受診基準に置き換えるのではなく、

子どもの肩痛が実際に一定数みられることや、その背景に複数の要因があることを理解するための情報

として捉えることが重要です。


4.明らかな外傷や強い症状がある場合は、通常の「様子を見る」と分けて考える

肩の痛みには、投球を繰り返すことで徐々に生じるものだけでなく、転倒や衝突などの明らかな外傷をきっかけに生じるものもあります。

例えば、

  • 転倒や衝突のあとに強い痛みが出た
  • 明らかな変形がある
  • 急に腕を動かせなくなった
  • 急激に機能が低下した

といった場合は、通常の「少し様子を見てみよう」という判断とは分けて考える必要があります。

日本整形外科学会によると、整形外科は運動器の疾患を扱う診療科で、スポーツ傷害や打撲、捻挫、骨折、脱臼、関節損傷なども対象としています。[7]

したがって、明らかな外傷や強い症状がある場合は、早めに医療機関で評価を受けることを考えてください。

なお、ここで「早め」としているのは、この記事が緊急度を細かく判定するためのものではないためです。

特に急激に状態が変化した場合や強い症状がある場合は、通常の経過観察とは分けて考え、医療機関へ相談してください。


5.投球を休んでも痛みが残る・繰り返す場合は?

「何日休めば病院に行くべき?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、「3日」「1週間」など、一律の期間を設定することはできません。

AAPは、若年アスリートのオーバーユース障害は明らかな外傷を伴わずに徐々に生じることがあり、症状が軽い場合には認識や受診が遅れる可能性があると説明しています。[1]

そのため、

一度投球を休んでも痛みが残る

再び投げると同じ痛みを繰り返す

少しずつ悪化している

という経過なら、原因を確認するために医療機関への相談を検討してください。

大切なのは、「○日たったから受診」ではなく、

「症状がどう変化しているか」

を見ることです。


6.子どもが「大丈夫」と言っていても受診を考える理由

子ども本人が、「大丈夫」「投げられる」と言っていると、

「それなら大丈夫なのかな」

と思ってしまいます。

もちろん、本人の訴えは大切な情報です。

ただし、

「大丈夫」と言っていることだけで、受診が必要ないとは判断できません。

AAPは、若年アスリートでは、症状が競技を妨げないことによって、オーバーユース障害の認識や受診が遅れる可能性があると説明しています。[1]

だからこそ、「痛くない?」だけではなく、

「投げているときはどう?」

「投げ終わったあとも痛い?」

「次の日はどう?」

「最近、痛みが増えていない?」

と聞いてみることが大切です。

本人が痛みを伝えやすい環境をつくることも、症状を早めに把握するうえで重要です。


7.成長期の肩痛は特に慎重に考えたい

小学生や中学生などの成長期では、

「大人と同じ」と考えない

ことが重要です。

小児・青年の肩障害についてまとめたreviewでは、小児・青年には成人とは異なる急性・オーバーユース肩障害があり、年齢や発達段階を考慮した評価が重要であることが整理されています。[3]

成長期の投球関連肩障害の代表例の一つが、Little League Shoulderです。

Bednarらのsystematic reviewでは、Little League Shoulderについて23研究、266人が対象となり、加重平均年齢は12.8歳でした。

投球休止や段階的な競技復帰などが報告されていますが、具体的な復帰基準を報告した研究は11/23にとどまりました。[4]

ここで大切なのは、

「成長期の肩痛=Little League Shoulder」

という意味ではないことです。

また、「成長期だから必ず危険」という意味でもありません。

重要なのは、成長段階によって考えるべき病態が異なるということです。

そのため、成長期の選手が投球に伴う肩の痛みを繰り返している場合には、

「成長期だから仕方がない」

と決めつけず、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。


8.「成長期だから仕方がない」と決めつけない

子どもの肩が痛いと、「成長期だからかな」「成長痛みたいなものだろう」と考えることがあります。

しかし、

「成長期だから仕方がない」と決めつけるのではなく、投球との関係や症状の経過を確認することが大切です。

若年アスリートのオーバーユース障害は、明らかな外傷ではなく、繰り返しの負荷によって徐々に生じることがあります。

AAPでは、こうした障害では症状が軽かったり、競技を続けられたりすることで認識が遅れる可能性があるとしています。[1,2]

また、成長部が関係する障害では、画像評価が必要になる場合もあります。

小児の成長部障害に関するレビューでは、X線、CT、MRIはそれぞれ異なる情報を提供し、MRIは成長部の直接評価や周囲の軟部組織の評価に有用とされています。[8]

ただし、

「肩が痛いからMRIが必要」

という意味ではありません。

必要な検査は、問診や診察などを踏まえて医師が判断します。


9.何科を受診すればいい?

野球による肩の痛みを相談する場合、まずは整形外科が一般的な選択肢です。

日本整形外科学会によると、整形外科は骨・関節・筋肉・神経などの運動器を対象とし、専門分野として肩関節外科やスポーツ医学があります。

スポーツ傷害や骨折、脱臼、関節損傷なども整形外科の診療対象です。[7]

そのため、

整形外科

を基本に考えてよいでしょう。

近くに、

  • 小児のスポーツ障害を診療している
  • 野球などの投球障害を診療している
  • 肩関節を専門としている
  • スポーツ整形を掲げている

といった医療機関があれば、そうした施設も選択肢になります。

日本整形外科学会では、認定スポーツ医を地域や得意分野などから検索できる名簿も公開しています。[9]

ただし、「スポーツ整形と書いてある医療機関なら、必ず野球肩を専門的に診てもらえる」という意味ではありません。

施設によって診療対象や専門分野が異なるため、受診前にホームページなどで診療内容を確認しておくとよいでしょう。


10.病院では何を聞かれる?何を調べる?

「病院に行ったら、いきなりMRIを撮るの?」と心配になる方もいるかもしれません。

実際には、まず症状や競技状況を確認し、身体診察を行ったうえで、必要に応じて画像検査を追加するという考え方が基本です。[3,6]

野球肩の検査|X線・超音波・MRI・CTの違いと使い分け
野球肩の検査では、X線・超音波・MRI・CTをどのように使い分けるのでしょうか。病院での問診・診察から、各検査で分かること、子どもの検査で知っておきたい注意点まで分かりやすく解説します。

問診で伝えたいこと

例えば、

  • いつから痛いのか
  • どこが痛いのか
  • どの動作で痛むのか
  • 投球中に痛いのか
  • 投球後にも痛いのか
  • 翌日はどうなのか
  • 最近の練習量・試合数
  • 投球量
  • 過去に肩や肘を痛めたことがあるか
  • 現在の年齢・成長段階

などです。

思春期アスリートの肩では、詳細な病歴と系統的な身体診察が重要で、年齢や活動レベルも鑑別診断を考えるうえで重要とされています。

さらに、病歴・診察所見を踏まえて高度な画像検査を検討する考え方が示されています。[6]

診察では何を見る?

状態に応じて、

  • 肩の動かせる範囲
  • 筋力
  • 痛みの場所
  • 圧痛
  • 肩関節周囲の状態
  • 必要に応じた専門的な検査

などを確認します。[6]

画像検査は?

必要に応じて、

  • X線
  • 超音波
  • MRI
  • CT

などが検討されることがあります。

小児の成長部障害では、X線、CT、MRIはそれぞれ異なる情報を提供し、MRIは成長部の直接的な評価や周囲の軟部組織の評価に有用です。[8]

ただし、

MRIを含め、どの画像検査を行うかは、症状や診察所見などを踏まえて判断されます。

すべての選手に同じ画像検査を行うわけではありません。

詳しいX線・超音波・MRI・CTの違いについては、別記事の「野球肩の検査」で詳しく解説します。


11.受診前にメモしておきたいこと

受診することになったら、診察の前に症状を整理しておくと説明しやすくなります。

分かる範囲で、次のことをメモしておきましょう。

① いつから痛い?

「昨日から」「1か月くらい前から」

など、最初に痛みを感じた時期を記録します。

② どこが痛い?

肩の前・後ろなど、本人が指で示せる範囲でも構いません。

③ いつ痛い?

投球中

投球後

投球翌日

日常生活

など、痛みが出るタイミングを整理します。

④ どのくらい続く?

投球をやめるとすぐ消えるのか、しばらく残るのかを確認します。

⑤ 最近の練習量・試合数

学校、クラブチーム、少年団、自主練習など、分かる範囲で記録します。

⑥ 投球量

正確な球数が分からなくても、

「週に何日投げているか」「試合でどのくらい投げるか」

など、分かる範囲で構いません。

⑦ 過去の肩・肘の痛み

以前にも同じような症状があったかを確認します。

⑧ 動作の変化

「最近、球速が落ちた」「コントロールが悪くなった」「投げ方が変わった気がする」

などがあれば、診察時の情報として伝えてみましょう。

これらは受診の可否を決める公式チェック項目ではありません。

診察時に、

「何が、いつから、どう変わったのか」

を伝えやすくするためのメモです。


12.受診したら、すぐ投げられなくなる?

「病院に行ったら、長期間ずっと野球を休まされるのでは?」

と不安になる選手や保護者もいると思います。

しかし、

受診したからといって、すべての選手が同じ期間の投球禁止になるわけではありません。

病態、症状、年齢、回復状況などによって対応は異なります。

Little League Shoulderについてのsystematic reviewでも、投球休止や競技復帰の方法は研究によって異なり、具体的な復帰基準を報告した研究は23研究中11研究でした。[4]

つまり、

病院に行く=必ず長期間野球ができなくなる

ということではありません。が、受診した=すぐ通常通り投げてよいという意味でもありません。

状態を確認したうえで、

  • 投球を休む
  • 一部の活動を制限する
  • リハビリテーションを行う
  • 経過をみる
  • 段階的に投球へ戻る

など、病態に応じた対応が考えられます。


13.受診までの間、練習はどうする?

受診までの間に最も優先したいのは、

痛みを我慢して投球を続けないこと

です。

一方、「投球を休む=すべての運動を禁止する」とは限りません。

AAPは、若年アスリートではトレーニング負荷と回復のバランスが重要で、回復が不十分なまま反復的な負荷が加わることがオーバーユース障害につながりうると説明しています。[2]

ただし、受診前の段階で、

「打撃なら大丈夫」「守備なら大丈夫」「ランニングなら大丈夫」

と一律に決めることはできません。

肩の状態や疑われる病態によって、避けるべき動作は変わるためです。

したがって、

受診までの間は、少なくとも痛みを我慢して投球を続けず、その他の活動については症状に応じて慎重に考える

という対応が基本になります。


📝 筆者の経験から|「病院に行ったら野球ができなくなる」と思っていた

私自身、選手だった頃、「病院に行ったら、野球を休まされる」というイメージを持っていました。

そのため、少しくらい痛くても、「もう少し様子を見よう」と考えてしまうことがありました。

でも今振り返ると、病院に行くことの意味は、

「野球をやめることを決める」ことではなく、「今の身体がどういう状態なのかを確認する」こと

だったのだと思います。

現在、柔道整復師・鍼灸師として身体について学び、少年野球の現場にも関わるようになってからは、肩の痛みを訴える選手に対しても、「病院に行ったら終わり」とは考えないようにしています。

むしろ、

「原因が分からないまま我慢するより、一度確認して、その後どうするかを考える」

ということが大切だと考えています。

選手には選手の事情があります。

試合に出たい。練習を休みたくない。レギュラーから外れたくない。

そうした気持ちを無視するのではなく、

その気持ちを大切にしながら、身体の状態も同じように大切にする。

そのために、医療機関へ相談するという選択肢があります。

※この章は筆者自身の経験・現場経験に基づくものであり、医学的研究結果ではありません。


よくある質問

Q1.肩が少し痛いだけでも病院に行くべきですか?

一律には決められません。

一度だけの軽い違和感ですぐ改善する場合もありますが、痛みが続く、繰り返す、悪化する、動かしにくくなるなどの変化があれば、医療機関への相談を検討してください。

AAPも、オーバーユース障害では症状が軽い場合でも受診が遅れることがあると説明しています。[1]


Q2.1日休んだら痛みがなくなりました。病院に行くべきですか?

「1日」「3日」「1週間」など、一律の期間だけで判断することはできません。

痛みが繰り返していないか、投球を再開すると再び痛まないかなど、経過を確認しましょう。


Q3.投球後だけ肩が痛い場合はどうすればいいですか?

投球との関連を確認するため、

  • 投球後どのくらい続くか
  • 翌日はどうか
  • 毎回起こるか
  • 徐々に強くなっていないか

を確認しておきましょう。

繰り返す場合は、医療機関への相談を検討してください。


Q4.子どもが「大丈夫」と言っています。病院に行くべきですか?

本人の訴えは大切です。

ただし、「大丈夫」と言っていることだけで受診が不要とは判断できません。

投球時・投球後・翌日の症状や、腕の動かしにくさなども一緒に確認しましょう。若年アスリートでは、症状が競技を妨げないために受診が遅れることがあります。[1]


Q5.野球肩は何科に行けばいいですか?

まずは整形外科が一般的な選択肢です。

近くに小児スポーツや野球障害、肩関節などを診療している整形外科があれば、そうした施設も選択肢になります。日本整形外科学会は、整形外科の専門分野として肩関節外科やスポーツ医学を挙げています。[7]


Q6.病院に行ったらMRIを撮りますか?

必要に応じて検討されます。

MRIを含め、どの画像検査を行うかは、症状や診察所見などを踏まえて判断されます。[6]

全員がMRIを受けるわけではありません。


Q7.病院に行ったら野球を休まされますか?

病態によって異なります。

投球休止が必要な場合もありますが、すべての選手に同じ期間の活動制限が必要というわけではありません。

Little League Shoulderについても、休養期間や復帰方法には研究間でばらつきがあります。[4]


Q8.大会前でも病院に行ったほうがいいですか?

大会が近いことだけで受診の必要性を判断することはおすすめできません。

大会前であっても、肩の痛みが続く・繰り返す、動かしにくい、悪化しているなどの変化があれば、身体の状態を確認することを考えましょう。


まとめ

野球をしている子どもの肩が痛いとき、

「病院に行くべきか?」

という疑問に対して、すべての選手に当てはまる一律の答えがあるわけではありません。

ただし、次のような場合には、自己判断で投球を続けるのではなく、医療機関への相談を考えたいところです。

  • 肩の痛みが続いている
  • 投球するたびに痛みを繰り返す
  • 痛みが徐々に強くなっている
  • 投球後や翌日にも痛みが残る
  • 腕を動かしにくい
  • 日常生活にも影響している
  • 投球を休んでも改善しない
  • 明らかな外傷や急な機能低下がある

そして、最も大切なのは、

「投げられる」ことだけで、「問題がない」と判断しないことです。

成長期では成人とは異なる肩障害がみられるため、年齢や発達段階を含めて状態を考える必要があります。[3]

受診=野球ができなくなるということでもありません。

まず状態を確認し、その結果をもとに、

休むのか、どの活動を制限するのか、治療やリハビリが必要なのか、いつ投球へ戻るのか

を考えていきます。

肩の痛みを、「成長期だから仕方がない」「投げられるから大丈夫」と決めつけず、

「今の状態を一度確認してみよう」

という選択肢を持っておくことが、長く野球を続けるためにも大切です。


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Little League Shoulderについて詳しく知りたい方

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医学的根拠・参考文献

[1] American Academy of Pediatrics.
When to See a Doctor (Care of the Young Athlete).
Pediatric Patient Education. 2021.
DOI: 10.1542/peo_document244.

若年アスリートの受診判断についてまとめたAAP資料。明らかな外傷がない場合や、症状が競技を妨げない場合でも、オーバーユース障害では認識・診断・治療が遅れる可能性があることを説明しています。

Just a moment…

[2] Brenner JS, Watson A, Council on Sports Medicine and Fitness, et al.
Overuse Injuries, Overtraining, and Burnout in Young Athletes.
Pediatrics. 2024;153(2):e2023065129.
DOI: 10.1542/peds.2023-065129.

若年アスリートのオーバーユース障害、オーバートレーニング、回復について扱ったAAP Clinical Report。反復的な負荷と十分な回復の不足がオーバーユース障害につながりうることなどが整理されています。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

[3] Mergoum AM, Roskam J, Berg M, Nilan L, Hecht S, Smith JD.
Identifying Acute and Overuse Injuries of the Shoulder in Pediatric Sports.
SN Comprehensive Clinical Medicine. 2025;7:407.
DOI: 10.1007/s42399-025-02134-5.

小児・青年の急性・オーバーユース肩障害を扱ったreview。年齢や発達段階を考慮して肩障害を評価する重要性を整理しています。

Client Challenge

[4] Bednar ED, Kay J, Memon M, Simunovic N, Purcell L, Ayeni OR.
Diagnosis and Management of Little League Shoulder: A Systematic Review.
Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2021;9(7).
DOI: 10.1177/23259671211017563.
PMID: 34377716.

Little League Shoulderについて23研究、266人を対象としたsystematic reviewです。加重平均年齢は12.8歳で、投球休止や段階的な競技復帰が報告されています。一方、具体的な復帰基準を報告した研究は11/23でした。

Diagnosis and Management of Little League Shoulder: A Systematic Review – PMC
Little League shoulder (LLS) is an overuse injury characterized by throwing-related pain that commonly presents in adole…

[5] Matsuura T, Iwame T, Suzue N, Arisawa K, Sairyo K.
Risk factors for shoulder and elbow pain in youth baseball players.
The Physician and Sportsmedicine. 2017;45(2):140-144.
DOI: 10.1080/00913847.2017.1300505.
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7~11歳の野球選手900人を1年間追跡した前向き研究。肩痛は18.3%にみられ、投手・捕手であること、週あたりのトレーニング時間、肩・肘痛の既往などとの関連が報告されています。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

[6] Lazaro LE, Cordasco FA.
Physical exam of the adolescent shoulder: tips for evaluating and diagnosing common shoulder disorders in the adolescent athlete.
Current Opinion in Pediatrics. 2017;29(1):70-79.
DOI: 10.1097/MOP.0000000000000443.
PMID: 27841778.

思春期アスリートの肩の評価について、詳細な病歴と系統的な身体診察の重要性、年齢や活動レベルを踏まえた鑑別診断の必要性を扱ったreviewです。また、病歴・診察所見を踏まえて高度な画像検査を検討する考え方が示されています。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

[7] 公益社団法人 日本整形外科学会.
整形外科のかかりかた/整形外科と外傷

整形外科は骨、関節、筋肉、神経などの運動器を扱う診療科であり、肩関節外科やスポーツ医学などの専門分野があります。また、スポーツ傷害、打撲、捻挫、骨折、脱臼、関節損傷なども整形外科の対象とされています。

整形外科のかかりかた|公益社団法人 日本整形外科学会

[8] Jawetz ST, Shah PH, Potter HG.
Imaging of Physeal Injury: Overuse.
Sports Health. 2015;7(2):142-153.
DOI: 10.1177/1941738114559380.
PMID: 25984260.

小児の成長部(physis)障害における画像診断を扱ったreview。X線、CT、MRIにはそれぞれ異なる役割があり、MRIは成長部の直接的な評価や周囲の軟部組織の評価に有用としています。

Imaging of physeal injury: overuse – PubMed
Imaging has an important role in the diagnosis of physeal injuries, and the information it provides has a tremendous imp…

[9] 日本整形外科学会認定スポーツ医名簿

日本整形外科学会認定スポーツ医を、地域や勤務先、得意とする身体部位・スポーツ種目などから検索できる名簿です。

認定スポーツ医名簿|公益社団法人 日本整形外科学会