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小学生の野球肘で知っておきたいこと|症状・受診・予防・投球復帰

小学生の野球肘について知っておきたいポイントを示したイラスト 野球肘

「子どもが野球をしていて、肘が痛いと言っている」

そんなとき、保護者の方は、

「成長期だから仕方ないのかな?」
「少し休めば治るかな?」
「病院に行った方がいい?」
「投げすぎが原因なのかな?」

と迷うかもしれません。

小学生の野球肘を考えるうえで、まず知っておきたいのは、肘の痛みを「成長痛」や「投げすぎ」と一つの理由だけで決めつけないことです。

成長期の肘はまだ発達の途中にあり、投球による繰り返しの負荷に加えて、投球量、疲労、競技環境、守備位置、身体の状態など、さまざまな要素が関係します。

若年野球選手を対象とした研究でも、肩や肘の痛み・障害には複数の要因が関連しています。[1][2]

一方で、研究で報告される**「肘痛」と、医療機関で診断される「野球肘」**は同じものではありません。

この記事では、小学生の野球選手について、

なぜ成長期の肘が特別なのか
どんな症状に注意したいのか
いつ受診を考えるのか
投球数や疲労をどう考えるのか
投球に戻るときに何を大切にするのか

を、できるだけ分かりやすく整理します。

※この記事は一般的な医学情報を提供するものであり、個別の診断・治療・運動許可を行うものではありません。

実際の症状については、医療機関で専門家の評価を受けてください。


この記事でまず知っておきたいこと

  • 小学生の肘は成長途中にあり、大人とは異なる部位が投球負荷の影響を受けることがあります。
  • 小学生の野球選手では肘痛が一定の頻度でみられますが、「肘痛=野球肘」ではありません。
  • 投球時の痛みや肘の伸ばしにくさなどがある場合は、「成長期だから」と決めつけないことが大切です。
  • 痛みがある状態で投球を続けず、必要に応じて医療機関へ相談します。
  • 投球数だけでなく、疲労、練習量、試合数、競技環境、身体の状態も合わせて考えます。
  • 痛みがなくなっても、すぐに全力投球へ戻るとは限りません。

1.小学生の肘は「成長途中」

小学生の身体を考えるとき、大人との大きな違いの一つが、骨格がまだ成熟していないことです。

成長期の肘には、骨の成長に関わる骨端線などがあり、周囲の骨や軟骨も発達の途中にあります。

そのため、同じように投球していても、

どの組織が投球による負荷の影響を受けやすいか

は、成長段階によって異なります。

思春期のオーバーヘッド・スローイング選手を扱ったreviewでは、骨格成熟に伴って肘に生じる障害のパターンが変化し、成長段階を考慮した評価が重要とされています。[3]

日本整形外科学会も、成長期の野球肘では、肘の内側・外側・後方など、それぞれ異なる部位に障害が起こり得ることを説明しています。

つまり、

「小学生だから、少しくらい肘が痛くても大丈夫」

とは限りません。

一方で、

「肘が痛い=重大な障害がある」

という意味でもありません。

大切なのは、成長期の肘には大人とは異なる特徴があることを知っておくことです。


2.小学生の野球選手では、肘痛は珍しくない

小学生の野球選手に、実際どのくらい肘痛がみられるのでしょうか。

日本全国の小学生野球選手8,354人を対象にした調査では、前年に肩・肘痛がなかった7,894人について、1年間に、

  • 肘痛:12.3%
  • 肩痛:8.0%
  • 肩または肘の痛み:17.4%

が報告されています。[1]

また、Matsuuraらは、過去に肘痛がなかった7~11歳の野球選手449人を1シーズン追跡し、137人(30.5%)がシーズン中に肘痛を経験したと報告しています。[2]

ただし、ここで非常に重要な点があります。

これらの数字は「野球肘の発症率」ではありません。

調べているのは肘痛を経験した割合です。

「野球肘」という言葉には、さまざまな病態が含まれるため、

「小学生の30.5%が野球肘になる」

という意味ではありません。

研究ごとに対象、調査方法、痛みの定義も異なるため、数字をそのまま比較することもできません。

それでも、

小学生の野球選手では、肘痛が一定の頻度でみられる

ということは、保護者として知っておきたい情報です。


3.小学生で特に注意したい肘の症状

小学生の選手で、次のような変化がないか確認してみてください。

投球時に肘が痛い

例えば、

  • 投げている最中に痛む
  • 投球後にも痛みが残る
  • 投げるたびに同じ場所が痛む
  • 徐々に痛みが強くなっている

といった場合です。

日本整形外科学会も、野球肘の症状として投球時・投球後の痛みを挙げています。


肘が伸びにくい・曲げにくい

痛みだけではなく、

「反対側より肘が伸びない」

という変化にも注意が必要です。

日本整形外科学会は、野球肘の症状として、肘の伸びや曲がりが悪くなることや、急に動かせなくなることも挙げています。

痛みが強くなくても、左右で明らかな動きの違いが出てきた場合は、状態を確認することをおすすめします。


腫れや痛みの繰り返し

次のような場合も、自己判断だけで投球を続けないことが大切です。

  • 肘が腫れている
  • 同じ痛みを何度も繰り返す
  • 日を追って痛みが強くなる
  • 投球していないときにも痛む

4.「成長痛かな?」と最初から決めつけない

子どもが肘を痛がると、

「成長期だからかな?」

と考えることがあります。

しかし、野球をしていて特定の動作で繰り返し痛む場合は、最初から「成長痛」と決めつけない方がよいでしょう。

成長期の肘では、成長に関わる部分や骨・軟骨などに投球による負荷が加わり、さまざまな障害が生じる可能性があります。[3]

大切なのは、

「肘が痛い=重大な障害」

と考えることでも、

「成長期だから問題ない」

と考えることでもありません。

痛みの場所、投球との関係、痛みの繰り返し、肘の動きなどを確認することが大切です。


5.痛みがあれば、まず投球を止める

小学生に限らず、野球肘が疑われる場合は、痛みを我慢して投球を続けないことが基本です。

日本整形外科学会は、野球肘では投球の中止と肘の安静が重要で、痛みを我慢して投球を続けると障害が悪化する可能性があると説明しています。

ここでいう「休む」は、

野球に関係するすべての活動を一律に禁止する

という意味ではありません。

障害の種類や程度によって、

  • 投球を休む
  • 肘に負担の大きい動作を控える
  • 医療者から許可された範囲で運動する
  • リハビリテーションを行う

など、対応は変わります。

逆に、

「投げなければ何をしてもいい」

という意味でもありません。

具体的にどこまで活動してよいかは、診療を担当する医療者に確認しましょう。


6.痛みがなくなっても、すぐ全力投球に戻さない

痛みがなくなることは、良い変化です。

ただし、

「痛みがなくなった=肘の状態が完全に戻った」

とは限りません。

野球肘にはさまざまな病態があり、病変の状態によって経過や投球復帰の考え方も異なります。

投球復帰を考えるときには、

  • 痛み
  • 肘の可動域
  • 身体機能
  • 必要な診察・検査結果
  • 投球への反応

などを総合して判断します。

肘スポーツ障害のリハビリテーションでは、身体機能を確認しながら、スポーツ特異的な活動へ段階的に戻す考え方が示されています。[4]

「投げられるか」だけではなく、「投球に戻ってよい状態か」を考える

ことが大切です。

投球復帰について詳しく知りたい方は、
野球肘から投球復帰するまでの考え方
も参考にしてください。


7.小学生の肘痛で、受診を考えたいサイン

次のような症状があれば、自己判断で投球を続けず、整形外科への相談を検討してください。

  • 投球時に痛む
  • 投球後も痛みが残る
  • 同じ場所の痛みを繰り返す
  • 肘が伸びにくい
  • 肘が曲げにくい
  • 腫れがある
  • 痛みが強くなっている
  • 投球していないときも痛い
  • 以前にも同じ肘を痛めたことがある

日本整形外科学会でも、投球時・投球後の痛みや肘の伸び・曲がりの悪化などを野球肘の症状として挙げています。

特に確認したい「肘が伸びない」

肘が伸びにくくなる変化は、痛みとは別に確認しておきたいポイントです。

2023年の小学生野球選手を対象としたスクリーニング研究では、実際にスクリーニングされた135人のうち10人が上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)と診断され、そのうち7人が無症状でした。また、肘の可動域制限や伸展時痛がOCDと関連していました。[5]

ただし、この研究は小学生全体を代表する疫学調査ではありません。

投手、捕手、症状のある選手、肘痛の既往がある選手などを含む、選択されたスクリーニング対象を調べた研究です。[5]

したがって、

「小学生の7%に無症状OCDがある」

という意味ではありません。

この研究から言えるのは、

症状がない選手でも、選択されたスクリーニング集団の中でOCDが見つかった例がある

ということです。


8.何科を受診する?

基本的な受診先は、整形外科です。

可能であれば、

小児・成長期のスポーツ障害や野球肘を診療している整形外科

を選択肢にするとよいでしょう。

診察では、

  • 痛みの場所
  • いつから痛いか
  • 投球中・投球後のどちらで痛むか
  • 肘の可動域
  • 圧痛
  • 投球歴
  • 守備位置
  • 過去の肘痛やケガ

などが確認されます。

必要に応じて、X線(レントゲン)、超音波検査、MRIなどが検討されます。日本整形外科学会も、野球肘の診断にX線やMRIを用いるとしています。


9.痛みがなくても、検診や診察で見つかることはある?

「痛くないから大丈夫」とは限りません。

2016年の肘検診研究では、地域大会に参加した1,605人の青少年野球選手を対象に、問診、身体診察、超音波検査、X線検査による肘のチェックが行われました。[6]

この研究では、初回超音波検査で60人に異常があり、そのうち55人がX線検査を受け、26人にOCDが確認されました。[6]

こうした研究から、

痛みがなくても、検診の過程で異常が見つかる場合がある

ことは分かります。

ただし、

「痛みがない小学生も全員、画像検査を受けるべき」

という意味ではありません。

検診や追加検査の必要性は、年齢、競技歴、症状、身体所見、地域の取り組みなどを踏まえて判断します。

2026年の日本の若年野球選手を扱ったreviewでも、肘障害についてスクリーニング、早期発見、予防という観点から整理されています。[7]


10.投球数だけで小学生の肘を守れるわけではない

投球数は重要な管理項目です。

一方で、

「この球数なら絶対に安全」

という単純な境界線として考えることはできません。

日本の小学生野球選手を対象とした全国調査では、肩・肘の痛みに関連する要因として、投手・捕手であること、年齢、1日50球を超える投球などが検討されています。[1]

また、別の前向き研究では、投手・捕手であること、年間100試合を超えてプレーすること、1年後の評価時の年齢などが肘痛と関連していました。[2]

つまり、投球数だけを見るのではなく、

  • 疲労
  • 練習量
  • 試合数
  • 守備位置
  • 競技環境
  • これまでの痛み
  • 身体の状態

などを合わせて考えることが重要です。


11.現在の学童野球では、投球数もルールで管理されている

現在の学童野球では、投球数を競技ルールとして管理する取り組みも行われています。

全日本軟式野球連盟では2026年シーズンから、学童部について、従来の1日当たりの投球数制限に加えて、1週間の投球数制限を導入しています。

現在の制限は、

  • 1日70球以内
  • 4年生以下は1日60球以内
  • 1週間210球以内
  • 4年生以下は1週間180球以内

です。

ただし、ここで大切なのは、

競技団体が定めるルールと、医学的に「この球数なら安全」と保証されることは同じではない

という点です。

球数管理は重要ですが、球数だけですべての肘障害を防げるわけではありません。

具体的な投球数、休養、疲労、身体機能の管理については、
野球肘の予防方法
で詳しく解説しています。


12.疲労した状態で投げ続けない

投球数と同じように、疲労の状態にも注意が必要です。

日本の少年野球選手を対象とした研究では、肘障害のある選手で、疲労した状態でプレーしていた割合が高いことが報告されています。[8]

また、若年野球選手を扱ったreviewでも、疲労や投球量、練習量、競技環境など複数の要素が肘・肩の障害や痛みに関連しています。[1][2]

ただし、

「疲労したから野球肘になった」

と因果関係を決めつけることはできません。

大切なのは、

疲労した状態で、さらに投球負荷を重ねていないか

を見ることです。


13.肘だけでなく、身体全体の状態も確認する

投球は肘だけで行う動作ではありません。

肩、肩甲帯、体幹、股関節、下肢などが連動して、ボールへ力を伝えます。

若年野球選手を対象とした介入研究では、肩や股関節の可動性、筋力などを含む身体機能改善を目的とした予防プログラムによって、内側肘障害の発生率が低下したことが報告されています。[9]

これは、

「身体全体の状態を確認することにも意味がある」

と考える材料になります。

一方で、

「股関節が硬いから野球肘になった」

「体幹が弱いから肘を痛めた」

というように、一つの身体的要因だけを原因とすることはできません。

小学生では成長に伴って身体の状態そのものが変化します。

だからこそ、

成長段階、疲労、投球量、身体機能、投球動作などを一つずつ確認し、全体として考える

ことが大切です。


14.「何日休めば投げられる?」には一律の答えがない

保護者の方からよく出てくるのが、

「何日休めば、また投げられますか?」

という疑問です。

しかし、小学生の野球肘には複数の病態があり、全員に共通する復帰日数を設定することはできません。

例えば、

  • 病態
  • 病変の程度
  • 年齢
  • 骨成熟
  • 痛みの経過
  • 肘の可動域
  • 身体機能

などによって対応が変わります。

日本整形外科学会も、スポーツへの復帰時期については主治医とよく相談するよう案内しています。

そのため、

「○日休んだから復帰」

ではなく、

「今の状態で次の段階へ進んでよいか」

という考え方が大切です。


15.痛みがなくなっても、いきなり全力投球しない

投球復帰では、以前と同じ距離や強度に突然戻すのではなく、段階的に負荷を戻すことが基本的な考え方です。[4]

イメージとしては、

投球を休む
   ↓
身体の状態を確認
   ↓
軽い投球から再開
   ↓
投球量・距離・強度を徐々に調整
   ↓
実戦に近い投球
   ↓
通常練習
   ↓
試合復帰

という流れです。

ただし、これはすべての小学生の野球肘に共通する固定スケジュールではありません。

病態や治療内容によって異なるため、実際には診療を担当している医療者の指示を優先してください。

詳しくは、
野球肘から投球復帰するまでの考え方
で解説しています。


16.📝 筆者の経験から|「痛い」と言えなかった小学生の自分

私自身、小学生の頃に肩を痛めて、思うように投げられなくなった経験があります。

当時の私は、自分の身体に何が起きているのかを説明する知識がありませんでした。

「痛い」

とは言えても、

「どこが痛いのか」

「投げると痛いのか、投げたあとに痛いのか」

「いつもより肘が伸びにくくなっていないか」

といったことを、自分ではうまく整理できていなかったと思います。

今、柔道整復師・鍼灸師として身体の仕組みを学び、少年野球の現場にも関わるようになって感じるのは、

子ども自身が痛みや身体の変化を正確に説明できないことがある

ということです。

だからこそ、保護者や指導者が、

「投げられるか」

だけを見るのではなく、

「投げたあとも痛みが残っていないか」

「肘が伸びにくくなっていないか」

「最近疲れていないか」

「以前と動きが変わっていないか」

といった変化にも目を向けることが大切だと思っています。

痛みを訴えたことを、

「大したことない」

と片づける必要もありません。

逆に、

「痛いと言ったから、重大な病気だ」

と考える必要もありません。

まず投球を止めて、子どもの話を聞き、必要であれば専門家に相談する。

それだけでも、子どもの身体を守るための大切な一歩になります。

※この章は筆者自身の経験・現場経験に基づくものであり、医学的研究結果を示すものではありません。


よくある質問

Q1.肘が少し痛いだけでも病院に行っていいですか?

はい。

投球時や投球後に繰り返し痛む、肘が伸びにくい、痛みが強くなっているなどの変化があれば、整形外科への相談を検討してください。

日本整形外科学会も、投球時・投球後の痛みや肘の動きの悪化を野球肘の症状として挙げています。


Q2.成長痛かどうか、自分で見分けられますか?

自己判断だけで区別するのは難しい場合があります。

特定の投球動作で繰り返し痛む、投球後も痛みが続く、肘が伸びにくくなったなどの変化がある場合は、

「成長期だから大丈夫」

と決めつけないようにしましょう。


Q3.痛みがなくなれば、すぐに練習へ戻っていいですか?

痛みがなくなったことは重要ですが、それだけで全力投球に戻れるとは限りません。

病態や身体機能などを確認しながら、段階的に投球へ戻すことが基本的な考え方です。[4]


Q4.痛みがなくても検診を受けた方がいいですか?

地域やチームによって野球肘検診が行われている場合があります。

研究では、症状がない選手からOCDなどの異常が見つかった例もありますが、これは、

「すべての小学生が画像検査を受けるべき」

という意味ではありません。[5][6]

地域の検診制度がある場合には、チームや自治体などの情報を確認するとよいでしょう。


Q5.投球数を守れば野球肘にはなりませんか?

いいえ。

投球数の管理は重要ですが、それだけですべての肘障害を防げるわけではありません。

疲労、練習量、試合数、競技環境、守備位置、これまでの痛みなども含めて考える必要があります。[1][2]


まとめ

小学生の野球肘について、まず知っておいてほしいことは次のとおりです。

  • 小学生の肘は成長途中にあり、大人とは異なる部位が投球負荷の影響を受けることがあります。
  • 小学生の野球選手では肘痛が一定の頻度でみられますが、「肘痛=野球肘」ではありません。[1][2]
  • 投球時・投球後の痛みや、肘が伸びにくい・曲げにくいなどの変化には注意が必要です。
  • 肘の痛みを「成長痛」と最初から決めつけず、繰り返す痛みや動きの変化があれば相談を検討します。
  • 痛みがある状態で投球を続けず、まず投球を止めることが基本です。
  • 投球数だけでなく、疲労、練習量、試合数、競技環境、身体の状態も合わせて考えることが大切です。
  • 痛みがなくなっただけで、すぐに全力投球へ戻るとは限りません。
  • 復帰は一律の日数ではなく、現在の状態を確認しながら段階的に進めます。

小学生の野球肘で大切なのは、「痛いのは仕方がない」と我慢させないことです。

そして、保護者や指導者が、

「何が悪かったのか」を一つ探すのではなく、「今、この子の肘にどのような負荷がかかっているのか」を見ること。

それが、子どもが長く野球を続けるための大切な一歩になります。


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医学的根拠について

[1]Takagishi K, Matsuura T, Masatomi T, et al. 2017

Shoulder and elbow pain in elementary school baseball players: The results from a nation-wide survey in Japan.

Journal of Orthopaedic Science. 2017;22(4):682-686.
DOI: 10.1016/j.jos.2017.03.016.
PMID: 28478963.

全国の小学生野球選手8,354人を対象とした調査。前年に肩・肘痛がなかった7,894人について、1年間の肘痛12.3%、肩痛8.0%、肩または肘痛17.4%が報告されています。


[2]Matsuura T, Suzue N, Kashiwaguchi S, Arisawa K, Yasui N. 2013

Elbow Injuries in Youth Baseball Players Without Prior Elbow Pain: A 1-Year Prospective Study.

Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2013;1(5).
DOI: 10.1177/2325967113509948.
PMID: 26535252.

過去に肘痛がなかった7~11歳の野球選手449人を1シーズン追跡した前向き研究。137人(30.5%)が肘痛を経験しました。


[3]Looney AM, Rigor PD, Bodendorfer BM. 2021

Evaluation and management of elbow injuries in the adolescent overhead athlete.

SAGE Open Medicine. 2021;9.
DOI: 10.1177/20503121211003362.
PMID: 33996078.

思春期のオーバーヘッド・スローイング選手の肘障害について、骨格成熟、病態、診断、治療を整理したreviewです。


[4]Lin KM, Ellenbecker TS, Safran MR. 2022

Rehabilitation and Return to Sport Following Elbow Injuries.

Arthroscopy, Sports Medicine, and Rehabilitation. 2022;4(3):e1245-e1251.
DOI: 10.1016/j.asmr.2022.01.012.
PMID: 35747663.

肘スポーツ障害に対するリハビリテーションと競技復帰を扱ったreview。身体機能を評価しながらスポーツ特異的活動へ段階的に戻る考え方が示されています。


[5]Teruya S, Ogawa T, Yamada H, et al. 2023

Detection of Factors Related to the Development of Osteochondritis Dissecans in Youth Baseball Players Screening.

Diagnostics. 2023;13(23):3589.
DOI: 10.3390/diagnostics13233589.
PMID: 38066830.

茨城県の小学生160人を対象として2年間のフィールドスクリーニングを行い、実際にスクリーニングされた135人のうち10人がOCDと診断され、そのうち7人は無症状でした。

本研究は小学生全体を代表する疫学調査ではなく、選択されたスクリーニング集団を対象とした研究です。


[6]Iwame T, Matsuura T, Suzue N, et al. 2016

Outcome of an elbow check-up system for child and adolescent baseball players.

The Journal of Medical Investigation. 2016;63(3-4):171-174.
DOI: 10.2152/jmi.63.171.
PMID: 27644553.

1,605人の青少年野球選手を対象に、問診、身体診察、超音波検査、X線検査による肘検診を行った研究です。


[7]Matsuura T. 2026

Screening and prevention of elbow injuries in youth baseball players in Japan.

International Orthopaedics. 2026.
DOI: 10.1007/s00264-026-06958-1.
PMID: 42443529.

日本の若年野球選手における肘障害について、スクリーニング、早期発見、治療、予防を整理した2026年のreviewです。


[8]Kouno C, Onishi M, Kawabe R, et al. 2023

Incidence and Characteristics of Elbow Injury in Japanese Youth Baseball Players: Comparison Between 2011 and 2021.

Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2023.
DOI: 10.1177/23259671231200844.
PMID: 37846314.

8~12歳の少年野球選手を対象に2011年と2021年の肘障害を比較した研究。2021年には肘障害群で、疲労下でのプレーなどが多くみられました。横断的研究であり、因果関係を直接証明するものではありません。


[9]Sakata J, Nakamura E, Suzuki T, et al. 2018

Efficacy of a Prevention Program for Medial Elbow Injuries in Youth Baseball Players.

The American Journal of Sports Medicine. 2018;46(2):460-469.
DOI: 10.1177/0363546517738003.
PMID: 29095655.

8~11歳の野球選手305人を対象に、身体機能改善を含む予防プログラムを検討した研究。介入群では内側肘障害の発生率が低かったと報告されています。


公式情報

日本整形外科学会「野球肘」

野球肘の症状、診断、投球中止、肘の安静、スポーツ復帰などについて解説しています。

公益財団法人 全日本軟式野球連盟

2026年シーズンから、学童部に1週間210球以内、4年生以下180球以内の投球数制限を導入しています。